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スクランブラーの語源と歴史 – 定番カスタム手法

スーパースポーツ、トレール、クルーザーなど、バイクにはそれぞれ用途に合わせた姿形のジャンルがたくさんあります。中でもスクランブラーは1950年代頃に発生した最古の部類にあたるバイクのジャンルです。

私の知っている限り、スクランブラーと同じ時代にあったのはカフェレーサー、ボバーくらい。
それより以前となるといまはクラシック(Classic)という総称で呼ばれるくらいしかありません。

今回はそんな古(いにしえ)のジャンル、スクランブラーについて解説してみたいと思います。

スクランブラーの歴史

スクランブラー。日本では戦後のスクランブルレース用途のバイクの呼称として知られています。
ですが海外ではすでに1950~60年代にスクランブラー全盛期がありました。スクランブラーの名称こそ後に出来ったものですが、元をただせば基本骨子は欧米起源のバイクです。
当時はオンロード、オフロードといった区分は現代に比べずっと曖昧でした。そして当時のバイクはベーシックな骨格は現代のロードバイクに通じています。

スクランブラー – Heiwa Grasstracker 004

スクランブラーは初期においてカフェレーサーのデザインに非常に良く似ていたそうです。のちにダート走行を目的とした幅広のアップハンドル、無駄をそぎ落とした軽量な車体、ピークパワーよりもトルク重視のエンジンといった特徴が与えられ、カフェレーサーとの違いが明確になっていきました。
そして現代のモトクロッサースタイルの初期オフロードバイクとの短い共存期間を経て、1970年代に入りスクランブラーは淘汰され一旦は市場から消えてしまいます。

スクランブラーの定番カスタム手法

近年トライアンフ、ドゥカティ、BMWだけでなく、ヤマハのSCRやホンダのCL500(250)といったさまざまなスクランブラーが気軽に入手できるようになりました。
ですがそれ以前はスクランブラーを手にするためには欲しければ自分で組む必要がありました。
その頃の古典的スクランブラーの様式(定番カスタム)はいまもほとんど変わっていません。

・無駄をそぎ落した軽量な車体
・カフェレーサーより小さくスリムなタンク
・小さくフォークに寄ったヘッドライト
・最小限のメーター
・短いシート
・リアツインショック
・アップマフラー。ただし必須ではない。
・合法な範囲で不要な物をすべて取り除いたミニマルな構成
・トップエンドのパワーよりもトルクを優先した空冷単気筒もしくは2気筒エンジン

スクランブラーはオンロード、オフロードといったジャンル特化が始まったときに生まれた最初のオフロードバイクです。そのため車体の特徴としてオンロードバイク由来の特徴もかなり持ち合わせています。

スクランブラーの語源・意味

Scramblerを辞書で引くと”a rapid mover; someone who scrambles.”と出てきます。
日本語だと”高速移動するもの、緊急発進するもの”という意味です。

スクランブルという言葉を最もイメージ通りに表すものとして、アメリカンフットボールのQBスクランブルなどが適切なのかもしれません。ボールを持って敵陣に突撃する。相手選手を紙一重でかわしてフィールドの奥深くに潜り込む。敵を引きつけ絶妙なパスを繰り出す。素早い身のこなしが要求されるプレーです。

素早い動き、急発進する身軽さがスクランブラーのコアイメージです。

小さなタンク、ヘッドライト、シートといった特徴は最小限の装備により全体の重量を減らすことに貢献します。
軽量化はシンプルな外観をスクランブラーに与えると同時にダートでの扱いやすさをも獲得させたのです。

伝統的スクランブラー、最新のスクランブラーともに持ち合わせる共通の特徴は、視覚的にシンプルかつロードバイク起源を失っていないこと。これがスクランブラーにとって重要な要素です。

美しい小柄なタンク、ダート走行に十分なストローク、ヘッドライトから伸びる水平に近い角度のボーンライン、タイヤにはシンプルなスクエアトレッドのパターン。軽量・機能美、まさにスクランブラーの為にあるような言葉です。

スクランブラー – Heiwa Grasstracker 004

このページは海外・国内のサイト、英語版wikipedia、英英辞書などをもとに情報を収集し、スクランブラーについて詳しく調べてまとめたものです。

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